実際に生徒を見ていても、こういう風に悩んでいる人は沢山いるんですよね。
小論文の勉強と一言で言っても、アプローチのしかたは沢山あります。
抱えている課題はそれぞれ違うため、当然ながら効果的な勉強方法というのも人によって異なります。
というわけで今回は、小論文を書くにあたっての課題の整理と、目的別の小論文の勉強方法を解説をしていきます。
自分がどれに当てはまるのか?と考えて、ぴったりの勉強方法で学習していきましょう!
小論文の勉強法は人によって違う!課題を分割して対策しよう
「小論文が書けない!」っていう人は一度、「何が原因で書けないのか?」というところに注目してみましょう。
小論文が書けない原因でよくあるものはこんな感じです↓
- 書く内容が思い浮かばない
- 書きたいことはあるけど文章にできない
- 文章の構成のしかたが分からない
- 言葉遣いで迷ってしまう
- 時間内に書き終わらない
- 語彙力がない
- 要約が書けない
自分がどれに当てはまるのか?をチェックしてみてくださいね。
大抵は1つではなく、複数の項目に当てはまると思います。
そして当てはまった項目を一つ一つ改善していきましょう。
それぞれの解決方法をまとめていますので、自分に当てはまる部分を実行していってくださいね。
①書く内容が思い浮かばない人
「テーマを与えられても、何を書けばいいのか分からない…。」
これはよくある悩みですが、とても根深い悩みです。
解消していくには一定の努力を要しますね。
「何を書けばいいのか分からない」だとかなりざっくりしてるので、これをもう少し分解していきましょう。
- 受験する学部・学問についての周辺知識がない
- 時事問題について知識がない
- 自分自身のことがよく分かってない
- テーマについて全く何も思わない
知識がない事で小論文を書けないのなら、それを勉強していくだけですからね。
自分の受験する学部や志望する業界のことを下調べしたり、本や新聞、ニュースなどで対策することもできます。
また自分自身のことがテーマとなる小論文の場合は、面接も並行して対策することができます。
よく聞かれる質問にはしっかり答えられるようにしておくべきですね。
これは高校受験生用ですが、大学受験生も参考になる部分はあるはずです↓
でも…「テーマについて特に何も思わない」という人はちょっと対策が難しいですね。
まずは言わずもがな、自分の意見をアウトプットできるようにしていかないといけません。
例えばニュースを見たときに、箇条書きでもいいから感想や意見を書き残す習慣をつけると良いですよ。
無理に格好良い内容を書く必要はなく、
- この事件が起こった原因はよく分からないけど、被害者がとにかく気の毒
- こっちの人はこう考えるだろうけど、反対の立場の人はこう考えるだろう。
- このニュースではこういう言い方してるけど、それは違うと思う
こんな感じで大丈夫ですよ。
最初は直感的だったり、批判的なことしか書けなくてもOK。
むしろその批判的な意見こそ、しっかり掘り下げていけば素晴らしい小論文になる可能性を秘めています。
この方法はかなり簡単なので、本当に効果があるのか疑問に思う人もいるかもですが…
だんだんと根拠のあるコメントが書けるようになり、小論文らしい内容になってきますよ。
②書きたいことはあるけど文章にできない人
こんな風に、考えを文章化していく過程で悩んでいる人も多いですね。
こういう人に伝えたいのは、「最初から完璧な文章を作ろうとしない」ということ!
まずは上で書いたのと同じように、テーマやニュースについて思ったことをメモに書き殴ります。
ここではキレイな構成を意識しなくてOK。
思ったことを思った順番で、吐き出すように紙に書いていけばいいのです。
そして一通りメモに書き出し終わったら、そこから文章の流れを作っていけばいいです。
ここからはパズルを組み立てるような感覚ですね。
アウトプットタイムと構成タイムを分けるだけで、びっくりするくらいやりやすくなることも多いです!
また、次の項目でお話するような基本の段落構成を意識すれば、より書きやすくなりますよ。
③文章の構成のしかたが分からない人
ここでは少し俯瞰的に、文章全体の構成について見ていきましょう。
実は小論文では、基本の文章構成は決まっているんですよ。
《序論→本論→結論》の順番に組み立てていけば、文章構成はすんなり決まるはずです。
こちらの記事で段落構成の解説をしていますので、この構成に自分の書きたいことを当てはめてみてください。
④言葉遣いで迷ってしまう人
小論文は基本的に、「である調」を使って書いていきます。
「ですます調」や話し言葉が混ざっていたら減点になってしまうので注意です!
「である調」は普段使わないので難しく感じてしまう人も多いですが…
よくある「である調」の語尾さえ覚えてしまえばOKですよ。
使う言い回しって実はそこまで多くないので、便利なものだけ暗記しておけば十分です。
⑤時間内に書き終わらない人
小論文の制限時間内に書き終わらないという場合も、いくつか原因が考えられます。
例えばこんな感じ↓
- 単純に文字を書くのが遅い
- 内容を考えながら清書をしている
- 何度も書き直して時間を無駄にしてしまう
- 規定の文字数に届かなくて、後半で困ってしまう
①の「単純に文字を書くのが遅い」に関しては、日ごろから意識して速く書く練習をするしかないですが…
その他については、事前の構成作りをしっかり行っていない可能性が高いです。
実際に原稿用紙に書くのは、試験時間全体の1/4~1/3くらいが基本だと思ってください。
それよりも時間をかけてほしいのは、構成メモづくりですね。
構成さえしっかり作れていれば、後は正しい言葉遣いで書いていくだけですから。
下の記事を参考にして、構成メモをしっかり作ることを意識してください。
こう思うかもしれませんが…
騙されたと思って、構成メモづくりに自分が思っている以上の時間をかけてみてください。
これに慣れれば、清書一発書きよりもずっとスムーズに、良い文章が書けるはずです。
⑥語彙力がない人
語彙力を伸ばすためには、様々な言葉に触れることが必須ですね。
本や新聞を沢山読む、というのが解決策にはなりますが…
受験生はじっくり読書をしている時間はありませんよね。
読書で勉強時間を削ってしまうのは本末転倒です。
語彙力というのは一朝一夕で増えるものでもありませんしね。
読書よりももっと点数に直結するのは、《分かりやすい言葉に言い換える》ということです。
無理に堅苦しい、難しい言葉遣いをする必要はありませんよ。
簡単な言葉・言い回しで良いので、確実に自分の考えを伝えるための言葉選びをしましょう。
小論文の練習をしていく中で、常に心がけてくださいね。
⑦要約が書けない人
小論文とセットで、課題文の要約が出題される場合がありますよね。
要約の練習は意外と大変。
なぜなら読解力や情報を取捨選択する能力、それを文字に起こす力などが総合的に試されますから。
なので要約が不得意な人は、苦手意識が根強いんですよね…。
要約が苦手は人は、要約の書き方に従って機械的に書くのが良いでしょう。
書いていくうちにコツを掴んで、自分なりの解き方が分かってくるはずです。
そして入試で要約の問題が出ると分かっているのなら、要約練習は毎日のように行うといいですよ。
ニュースを見たり本を読んだりしたら、上のリンクで解説した手順で自分なりに要約をしていきましょう。
どんな勉強法でも共通。必ず意識してほしいこと。
上記のように「自分の小論文にはどんな課題があるのか?」と考えて、それを解決するための勉強をしていかないといけません。
でも…どの勉強方法を採用するにしても、共通して覚えておいてほしいことがあります。
ここではそのことについて解説していきますね。
知識の部分はある程度独学でOK
こんな風に迷っている人も多いです。
小論文はもちろん、人の手を借りれば成長も早いです。
しかし一から十まで人から教わろうとすると、時間もお金も膨大にかかってしまいます。
というわけで、小論文はある程度は独学をするのをおすすめします。
基本の書き方、段落構成、テクニックなどの”知識”の部分は、本やネットにある情報で得ることができますよ。
「キレイな文」よりも「点を取れる文章」
小論文を書くにあたって、「言葉の美しさ」とか「芸術性」とかって必要ないんですよね。
多少の加点にはなるかもしれませんが、そこに力を割くのなら他の科目の勉強をした方がはるかに加点になります。
それよりも重視してほしいのは、「点を取れる文章」。
加点項目・減点項目を具体的に意識して書くほうが得点に直結しますからね。
もし受験する学校が採点基準を公表しているのなら、必ずチェックしておきましょう。
くれぐれも用法が不安な表現を使ったり、賛否両論の分かれる意見を書くのは避けてください。
入試まで時間がある人は基礎の基礎から勉強するのもアリ
もしあなたが受験生で、入試まであと数か月という時期だったら…
小論文のために勉強時間を削ってまで読書をするのはやめたほうがいいです。
それよりも小論文についての知識を叩き込んで、「得点できる文」を書く練習をした方がいいですね。
でももし受験までまだ時間があるのなら、読書をして語彙力や表現力・読解力を養うのも良いでしょう。
こういった力は少しずつしか伸びていきませんからね。
日々の勉強の合間に組み込んで、長期的にこれらの力を伸ばしていきましょう。
とにかく手を動かして書いてみる
そして上記の方法で基本的な知識を得ることができたら…
あとは手をどんどん動かしましょう!
スポーツでもなんでも、知識だけ得ても上手にはなりませんからね。
練習段階では、いくら時間をかけても、本やネットの情報を見ながら書いてもOKです。
基本に忠実に書いて、とにかく沢山作品を作ってみてください。
添削をしてもらうのは必須!
そして最後に、一番大切なこと。
小論文を書き終わったら必ず、添削をしてもらいましょう!
せっかく作品が出来たのに、人に見てもらわないのはもったいないですよ。
他人に見てもらう事で、自分では気づかなかった課題点に気づくことができます。
そして添削を繰り返してOKサインが出たら、それはあなただけの《模範解答》となります。
自分の書き方や思考が現れた、この世に二つとないものです。
添削を繰り返すうちに、何度も指摘されるところも出てくるでしょう。
それがあなたの課題点です。
ひとつずつ課題点を潰していき、一段一段確実にレベルアップしていきましょう。
小論文の勉強法は一つではない!自分に合った勉強法を選ぼう
- 小論文の効果的な勉強法は人それぞれ違う
- 自分の小論文がどんな課題を持っているのか分析しよう
- 入試の小論文は得点力重視!
- とにかく沢山書いて、添削してもらう事が大切!
今回は小論文の勉強方法について解説をしていきました。
小論文の勉強…と一言で言っても、いろんな方法があります。
自分に合った勉強法を選んでいきたいですよね。
でも全員に言えることは、
とにかく沢山書いて、添削してもらう!!!
ということ。
上記で解説した練習方法だけではなく、必ず本番形式で練習し、文章を完成させるという事を必ず行ってください。
数をこなすことが何よりの練習ですよ。
この記事があなたの小論文学習の手助けになれば幸いです!
小論文の書き方の全体像はこちら↓