高校入試や大学入試、さらには就職試験や昇進試験まで…
作文や小論文を書く機会は意外にありますよね。
でも時々しか書かないものだから、書き方に戸惑ってしまうという人も多いです…。
さらには作文か小論文かを指定されている場合、もっとパニックになってしまう人も多いのではないですか?
というわけで今回は、小論文と作文の違いについて解説をして行きます。
同じテーマを使って小論文と作文で書き分けてみましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
今回の内容は動画でも解説しています。
併せてどうぞご覧ください↓
小論文と作文の違いとは?
小論文と作文の違いは、ズバリこの表のとおりです。
小論文 | 作文 | |
---|---|---|
書く内容 | 意見とその理由 | 体験談や感想 |
誰の目線? | 客観的な目線 | 主観的な目線 客観的でもOK |
文体・口調 | である調 | である調 ですます調 |
表現の美しさ | 不要 | あってもOK |
段落構成 | 序論→本論→結論 が基本 | 自由 |
それぞれ詳しく解説していきますね。
違い① 書く内容
小論文に書く内容は「意見とその理由」、
作文に書く内容は「自分の体験や感想」となっています。
これは、あまり難しく考えなくてもいいですよ。
小論文と作文では出題されるテーマがちょっと違うんです。
- 裁判員制度には賛成?反対?
- 近所づきあいをより良くするためにできることは?
小論文では、社会問題などに対するあなたの意見が求められることが多いです。
一方で作文では、自分自身のことや身近な話題がテーマとなることも。
- 学校生活で頑張ったことは?
- 3年後の目標は?
- 将来の夢・それに向かってどう頑張るか
このように、出題のテーマに差があることが多いんですね。
でもやはり、作文と小論文の両方で出題されるテーマもあります。
これに関しては記事の後ろで、例題を用いて解説しますね。
それに、出題文の中に書き方の指示がある場合も多いです。
- 自身の体験を交えて書きなさい
- 立場を明らかにした上で、具体例を示して論じなさい。
こんな風に問題文で指示されていることも多いです。
違い② 誰の目線?
「誰の目線で書くのか」というのも、作文と小論文の大きな違いです。
小論文は「客観的」、作文は「主観的」で書くことが多いですね。
では少しだけ例を見てみましょう。
【例題】東京オリンピックではどのような問題が起きるか?
外国人が多く押し寄せることが予想されるので、治安の悪化が懸念される。
外国人が多く押し寄せるので、治安が悪くなるのが不安だ。
どちらも「治安の悪化」について書いていますが、少し様子が違いますよね。
小論文の方は、誰の目からも明らかなことを客観的に書いているのに、作文の方は「不安だ」と自分の感情が入っていますね。
これが大きな違いなんです。
小論文は基本的に、自分の感情は入れません。
感情を入れてしまうと、客観的ではなく主観的な文章になってしまいますね。
「自分の意見を述べる」ことと、「感情を表現する」ことは全くの別ものです。
違い③ 文体・口調
小論文は「~である調」で書きます。
一方で作文は「~である調」と「~です・ます調」のどちらでもいいのですが…
文体は統一して書かなくてはいけません。
これがごちゃ混ぜになってしまうとかなり不自然なばかりか、減点対象にもなってしまいますよ。
違い④ 表現の美しさ
小論文には、文学作品に出てくるような美しい表現は必要ありません。
誰が読んでもすぐに伝わるような、簡潔で分かりやすい表現で書きましょう。
一方で作文はというと…
基本的には凝った言い回しは不要です。
でも、使っちゃいけないという訳ではありません。
それによって知性や品性を伝えることもできます。
ただ一番大切なのは「分かりやすさ」だということを肝に銘じておきましょうね。
違い⑤ 段落構成
小論文にはある程度決まった段落構成が存在しているんです。
【段落構成の例】
- 序論
- 本論
- 結論
この構成で書くことが圧倒的に多いです。
この「本論」部分を何段落かに分けて書いてもOKです。
もう少し細かくルールを決めてパターン化したい人は、5段落構成で書くこともあります。
一方で作文の段落構成は自由!
ただ自由と言っても難しいので、小論文の段落構成を真似て書くこともあります。
小論文と作文の書き方の違いを例文で説明!
ここまで小論文と作文の違いを説明していきましたが…いまいちピンと来ていない人も多いかもしれません。
ここでは例文で小論文と作文の違いを紹介していきます。
分かりやすいように、小論文と作文で同じテーマで書いてみますね。
例題① あなたはボランティア活動に参加することについてどう思いますか?
このテーマで書き分けるとしたら、ざっくりとこんな感じになります。
小論文の場合
【序論】ボランティア活動に参加することは全員にとって必要であると考える。
【本論】学校の授業の一環で、嫌々ボランティアに参加している人もいるかもしれない。しかしボランティア活動を通じて社会貢献をしたことのある人は、今後他人や環境に悪影響になるようなことはしないだろう。例えばゴミ拾いのボランティアをしたことのある人は、ごみをポイ捨てする大人になるとは考えづらい。
【結論】ボランティア活動に参加することで、 自分の見えないところで誰かが苦労しているということを知ることができる。よってボランティア活動は全員が行うべきだと考える。
まず小論文特有の「~である調」。
あまり慣れていない人は言い回しのパターンを増やしていくのが良いですよ。
具体例の割合は、【本論】の中のごく一部分だということが分かります。
小論文のメインはあくまで意見とその理由です。
感情や具体例の部分が多くなりすぎないようにします。
作文の場合
高校2年生の夏に海岸掃除のボランティアに参加しました。海水浴客が平気でゴミをポイ捨てしたり、その場に置いて帰ったりするのを目の当たりにしてとても悲しくなりました。一方で私たちがゴミ拾いをしているのを見て一緒に拾ってくれる人もいました。
このボランティアに参加した人や一緒に拾ってくれた人は、今後決してごみをポイ捨てすることはないと思います。こんな人が増えていけば嬉しいので、私は今後もボランティア活動には積極的に参加します。
この作文は、いきなり経験から始まっていますね。
そして、全体を通じて「自分の気持ち」を書いているのが分かります。
作文でもいわゆる一般論は入れてもOKですよ。
自由に書きたいことを書くのが作文です。
例題② 学生生活における「自由」とはどういうことか?
次はちょっとレベルアップした題材。
《学生生活における「自由」とはどういうことか?》
…なんて、捉えどころのないテーマが出題されることもあります。
これも例文で見ていきましょう。
小論文の場合
【序論】学生生活における自由とは、「将来を選ぶ自由」であると考える。
【本論】自由と言えども家族のルールには従わないといけないし、もちろん罪を犯すこともできない。しかし学生という限られた時間の中で、何を勉強するかや何に時間を費やすのかはある程度選ぶことができる。これらは将来の仕事や生き方にも大きく関わってくる。
【結論】 「自由」とは「頑張らなくていい」ということではない。自由に時間を使えるからと言って何も考えずに時間を浪費してしまうのは、将来の可能性を潰すことにもなる。
ここには全く自分の感情が入っていないのが分かりますか?
一般論…ではないかもしれませんが、自分が注目する「事実」を「客観的に」書いています。
そして…「これは間違っている!」と文句を言えない文章ですよね。
人によっていろんな意見はあれど、
こういう風に思ってもらえます。
作文の場合
学生の自由は制限付きの自由です。学生は親の管理下に置かれています。親が許す範囲ならば何でもできます。しかし、親がダメと言ったことはできません。さらには親の命令も聞かなくてはいけません。学生にとっての自由は本当の自由とは言えません。
先ほどの小論文に対して、これは自分のことしか書いていません。
この内容を小論文で書いてしまうと…
こんな風に思われてしまうかもしれません。
でも、作文ならこんな表現でもOK。
自分の気持ちを正直に書いていいのが作文ですからね。
小論文の場合は感情は抜き、体験談は少な目と覚えておきましょう。
ちなみにこういったテーマは小論文では頻出です。
よく出るテーマについてはしっかり予習をしておくのがおすすめ。
作文と小論文の違いを掴んで、高得点を狙おう!
- 小論文は「~である調」。作文は「~です・ます調」でもOK。
- 小論文では客観的な表現を使い、自分の感情は入れない。
- 他にも細かい違いはあるが、まずはどんどん書いて経験値を積むことが大切。
今回は小論文と作文の違いについて解説をしていきました。
細かな違いはあれど、書いていけばだんだんと慣れていきますよ。
そしてただ書くだけじゃなく、出来上がった小論文を添削してもらうことが大切です。
塾や学校の先生、そして身近で頼れる人、できれば複数人に見てもらいましょう!
小論文の書き方はこちらでまとめています。
学生生活における自由の例文ですが、
「犯罪を犯す」は意味が二重になってる気がします。
頭痛が痛いみたいに。
確かに!
「罪を犯す」が正しいですね
ご指摘ありがとうございます!