このようなことは、生徒にもよく聞かれるんです。
大学を卒業したその先には就職が控えているわけですから、少しでも就活に強い大学・学部を選びたいという気持ちも分かります。
今回は、就職に有利な学部・学科についてのお話です。
進路を迷っている高校生は、ぜひ見てみてくださいね。
大学の学部によって就職に有利・不利はあるの?
では早速本題。
大学の学部・学科によって就職に有利だったり、不利だったりすることはあるのでしょうか?
専門職・技術職に就くのなら、その学部・学科は有利
いわゆる専門職・技術職に就くのなら、大学でその分野を学んでいることは圧倒的に有利です。
たとえばSE(システムエンジニア)。
文系の学部を出ていても、SEになることは可能です。
でも、やっぱり大学で情報系の勉強をしていた方が有利と言えます。
会社だって、人件費にお金をかけたくないんです。
何も知らない人に一から教育するよりは、大学である程度その分野を学んでいる人の方が人材育成が数倍ラク。
こんな風に期待されて採用されやすくなります。
そして、そもそも資格を持っていないとなれない職業も多いですよね。
このような理由で、
- 医療系
- 介護系
- デザイン系
- 情報系
- その他資格が必要な仕事
これらの分野を目指す人は、しっかりと学べる大学や専門学校に行った方がいいです。
一般企業の専門職以外であれば、それほど大差はない
逆に言うと、企業の花形と言われる「営業職」や女性に人気の「事務職」は、どの学部を出てもなれる職業と言えます。
このような普通の企業の就活では、
- この人の人柄は?
- ちゃんと仕事をこなしてくれる?
- 同僚や上司とうまくやっていける?
- 会社のさらなる発展に貢献してくれる?
このようなことで判断されます。
大学で勉強してきたことを活かすこと自体があまりないんですよね。
専門職以外であれば、学部・学科はあまり関係ないと考えましょう。
就職に有利な学部を強いて挙げるとしたら…
私が考える、就職に強いと思われる学部は以下の5つです。
- 社会学部
- 経済学部
- 商学部
- 経営学部
- 英語系の学部
上から4つは社会全体のことを勉強していきますので、他の学部の人よりはちょっとだけ就職に有利と言えるでしょう。
ただ、企業が「この学部の人が欲しい!」と思っているわけではありません。
他の人よりほんのちょっとだけ有利とか、どちらかと言うと自分が就活しやすくなる学部だと考えましょう。
社会の仕組みを理解しているのといないのとでは、企業の選び方・業界への理解度も変わってきます。
そして、英語系の学部の人も就職には有利だと考えられます。
でも、英語ってもうほぼ個人のスキルが問題なんですよね。
って人も多くいます。
英語を活かした仕事に就きたいのであればどちらかと言うと、英検やTOEIC・留学経験の方が重視されますね。
俗に言われている「就職に強い」とはどういうこと?
オープンキャンパスに行っても、「うちは就職には力を入れています!」って宣伝していることが多いですよね。
でもこれって、具体的にどういうことなんでしょうか?
就職率が高い
その大学の就職率は、大学のホームページやパンフレットで確認することができます。
今はどの大学も就職支援には力を入れていますので、90%を超える大学がほとんど。
なので就職率よりも、「就職課のサービスを利用しやすいか」で判断するといいですよ。
大学が企業の推薦枠を持っている
これは大学自体が企業への推薦枠を持っている場合や、大学の教授のコネがあったりといろいろな場合があります。
そして、推薦枠と言っても色々な種類があります。
ほぼ内定を決めてくれるものだったり、普通の就活生と一緒に入社試験を受けないといけなかったり。
基本的に公表されない情報ですので、受験生には教えてくれません。
なので、推薦枠から大学を選ぼうとするのは現実的には不可能なんです…。
数社しか受けずにすんなり内定が決まる
「就職のしやすさ」というと、「就活をいかに楽に終わらせるか」という要素も重要になってきますよね。
ってことも多いんですよね…。
多い人だと100社以上受ける人もいるくらいです。
すんなり就職が決まるパターンは、専門職・技術職に多いです。
普通の業種の場合は、やはり人柄や能力などで内定が決まる早さが変わります。
学部や学科での差はあまり出ません。
有名企業に内定がもらえる
大学の就職データを見て、有名企業の名前が連なっていたら「すごい!」となりますよね。
でもやはり、ここでも学部・学科は関係ありません。
大手の企業は抱える社員数が多いからこそ、「一人の優れた人」を採用するのではなく、
「チームで戦える人」を採用したい傾向にあります。
もちろん、優秀であるに越したことはありません。
しかしそれよりも、「コミュニケーション力」や「会社に貢献する素直さ」の方が重視されると考えておきましょう。
履歴書を見たときに「おっ」てなる
たいていの場合、学部や学科を見ただけで「おっ、やるやん!」とはなりません。
なるとしたらそれは大学名とか、学生時代にしていた活動の部分ですね。
例外的に「やるやん」ってなるとしたら、それはその会社が求めている人材にぴったり合致した場合。
これもほとんどは、専門職を募集している場合ですね。
あとは、英語などの就職後すぐに活かせる資格を持っていた場合でしょうか。
いずれにしても、学部・学科名だけで就職に有利になることはありません。
就職率などの数字には罠もある
就職率を上げるためには、全員にどこかしらの会社に就職してもらう必要があります。
それが超大手でも、小さな会社でも、ブラック企業でも、全員就職させれば就職率100%です。
そして、就職率を考える時に注意したいのは分母。
大学院や他の大学に進学している人も入っていたら、就職率は下がりますよね。
大学院進学率の多い理系の学部だったら、就職率が低く出るのは当たり前。
どういう風に計算しているのかをしっかり確認して、数字だけに踊らされないようにしましょう。
また学校が推薦を持っていると言っても、ただ単に紹介している(求人票を大学が公表している)だけだったり、「面接に行っても普通に落とされた…」なんてこともあります。
このあたりは実際に就活をしてみないと分からない部分ですよね。
どちらにせよ、内定は個人の力で取ってくるものとして考えたほうがいいです。
就職に有利=楽しい社会人ライフではない
就職してからが本当の始まり。
希望の職業や憧れの企業に就職できたとしても、それがゴールではありませんよ。
やはり会社も入ってみないと分からないですし、思い描いたような仕事をさせてくれるかどうかなんてわかりません。
それに、その会社で一生働き続けるのかどうかも疑問ですよね。
昔は「一つの会社で定年まで働くのが普通」と考えられていましたが、今はどんどん転職をしてキャリアアップしていくのが普通になりつつあります。
外国では、「転職できない人の方が無能」という考え方ですしね。
だから、あまり就職率とかは気にしない方がいいんじゃないかな、と思います。
就職してからは大学で何を学んでいたかは関係ない
これは会社に勤めようが、自分で事業を起こそうが、社会人は「学生時代に何をしていたか」なんて関係ありません。
専門職で先輩から仕事を教わっている段階だったら、学部やなんかで新人同士の優劣はつくこともあるでしょう。
でも一通り仕事を覚えてしまったら、後は実力の世界。
むしろ…
って思っている人の方が、取り残されやすいです。
だったら、ただ単に興味のある学部に行くという選択肢もアリ
もし専門職ではなく普通の職種に就職したいのならば、興味だけで大学の学部・学科を選ぶというのも手です。
大学では興味のある分野を勉強しつつ、資格の勉強をしたり、学生時代にしかできない活動をするという選択性もあります。
もちろん将来の夢がはっきり決まっている人は、時間を惜しまないで夢をかなえるための勉強をしましょう!
でも、ほとんどの人にとっては将来の夢ってあいまいなものですよね。
だったら、自分の興味のある分野を深めていったほうがいいと考えます。
そうすると今まで興味を示さなかったことが気になってきたり、その知識を深めることで社会に出てからも通用する力が得られることだってありますよ。
将来のことを考えつつも、自分の興味・関心を優先させよう
- 将来の夢がはっきり決まっている人は、その分野を大学で学ぶのが圧倒的に有利
- 夢や目標がない人は、自分の興味で学部を選ぶのもOK
- どうしてもやりたいことがないのなら、 社会学部・経済学部・商学部・経営学部・英語系の学部が無難かも?
- 「就職に強い」と謳っていても、結局は就活は自分の力で行うもの
- 固執しすぎも良くない!将来について柔軟に考えよう
今回は、「就職にはどの学部が有利か」ということを解説していきました。
一部の専門知識を必要とする職種以外は、学部によって就活が有利・不利になることはありません。
なのでせっかく大学で学ぶのですから自分の興味・関心のある分野を勉強するのが良いんじゃないかと思います。
大学在学中の4年間でやりたいことが変わる可能性がありますしね。
これから実際に就職するまで、まだ時間はあります。
それまでに、
- 自分はどんな仕事したいのか
- どういう生き方をしたいのか
- 自分の優れているところはどこか
こんなことなどをしっかり考えてほしいです!
今回はちょっと難しい話になってしまいましたね。
就職はまだまだ先でも、大学決定のリミットは近づいています…
大切なことは、とにかく沢山情報収集をすること。
学部ひとつに狙いを定めるのも良いですが、
ってことになるのは避けたいですよね。
大学だけに限らず、専門学校・短大まで目を向けたほうがいいですよ。
まずは浅く広く情報収集をするために、まずはパンフレットをたくさん請求すると良いですよ。
時期や学校によっては願書もセットで送ってくれることもあります。
そして学校のパンフレットには「就職率」などの就活情報も載っていることがほとんどです。
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