文転に関する相談は毎年よく届きます。
直接指導している生徒からも文転の相談を受けるので、理系の人の多くが通る悩みなのではないかと思っています。
というわけで今回は文転はアリかナシか、
そして文転を成功させるために覚えておいてほしいことを紹介していきますね。
文転はアリ?ナシ?文転を成功させるために覚えておいてほしいこと
まずは文転はアリなのかナシなのか、私の考えをまとめていきます。
文転という選択肢は大いにアリ
結論から申し上げると、文転という選択肢は大いにアリと認識しています。
人により事情が異なるとは思いますが、文転自体は逃げでも甘えでもないです。
それに担当した生徒や知り合いの中にも文転して受験を成功させた人はたくさんいます。
ただし文転するなら戦略を練らないといけない
ただし文転をするにあたって注意しないといけないこともありますよ。
戦略なしの文転はかなり危険です。
自分の目標や得意科目、入試で必要な科目など…
総合的に考えて判断する必要があります。
そもそも文転ってどんなもの?
ここで一度、文転というものについて整理しておきましょう。
理系から文系に転向すること
そもそも文転とは「理系が文系に転向すること」を指します。
もう少し細かく言うと、
- 目指す学部の変更
- 入試に向けて勉強する科目の変更
- もしくはその両方
がありますね。
高校生の中では一般的に「理系クラスから文系クラスへ移ること」を文転と言うことが多いですかね。
高3に上がるときに文転する人が多い
文転のタイミングとして一番多いのは高2から高3に学年が上がるときです。
高2のうちに文転を決心して、そして高3から文系クラスに移るということが多いですね。
その次に多いのは浪人中でしょうか。
一度受験を経験した上での進路変更や科目変更を行う人も多いです。
ちなみに年度途中の文転もありはしますが…
学校の選択科目は年度途中では変更できませんし、塾や予備校での手続きも煩わしいです。
自分で学習する内容を変更するくらいしかできないんですよね…
文転する理由で多いのは?
文転を希望する人に理由を尋ねるとこんな返答が返ってくる場合が多いです。
- 文系科目の方が得意
- 理系科目が苦手
- 行きたい大学が文系科目でしか受験できない
- 理系受験すると科目数が増えてしまう
「文系科目が得意」と「理系科目が苦手」は一見同じことを指しているように思いますが、とるべき戦略に差が出てくるのであえて別に書きました。
「理系科目が苦手」であれば切り捨てて文系科目だけで勝負するイメージ。
一方「文系科目が得意で理系科目は普通…」という場合は理系科目で受験しても大丈夫ですよね。
科目の選択肢が広がるし、保険として理系科目を受験するという作戦もアリです。
細かい科目の作戦は後から解説をしますね。
とりあえずここでは文転の理由にはいろいろあるし、取るべき選択も人によって違うということを覚えておいてください。
文転した人の受験科目はどうなる?
では実際問題、文転をしたら勉強するべき科目はどう変わるのでしょうか?
理系科目の変わりに社会を受けることが多い
最もよくあるのは、数学や理科などの変わりに社会を受験するというものです。
理系科目が苦手な人や入試科目に理系科目を選択できない人が取る方法ですね。
そうなると今まで勉強していなかった科目を勉強することになるので結構大変です…。
ただし倫理や政治経済など暗記量の少ない科目では、数学や理科を深く勉強するより労力をかけずに高得点が狙えることもありますよ。
理系科目で文系学部を受験できる可能性も
文転をした後も理系科目を引き続き勉強する場合もありますよ。
もともと理系科目が得意な人は文系学部を理系受験するという手もあります。
例えば史学科などは日本史・世界史のどちらかが必須で理系科目を選択できない可能性が高いですが…
その他の私立文系の学部であれば理系科目で受験できる場合も多いです。
必要な科目数が減ることもある
主に国公立大学を受験する場合ですが、実は文転をした方が必要な科目数が減る可能性があります。
例えば国立大学の理系学部を受験すると2次試験では
- 英語+数学+理科2科目 =計4科目
- 英語+国語+数学+理科2科目 =計5科目
こんな感じの科目構成となります。
一方で文系学部を受験する場合は、
- 英語+国語+数学 =計3科目
- 英語+数学+国語+社会 =計4科目
こんな感じになる場合が多いですね。
文転をするメリットとは?
次に文転することのメリットをまとめていきます。
苦手な科目を損切りできる
理系科目が苦手な人にとってはこれが一番大きいでしょう。
数学や理科ってかなり大変ですよね。
数学はⅠAⅡBⅢとかなり範囲が広いですし、理科も例えば化学基礎・化学の両方が1科目として出題されることもありますよね。
学校で普通に習うなら2年分以上のボリュームがあります。
ちょっと躓いてしまった部分があとに大きな差になってしまうこともありますからね…。
なので早めに損切りをして違う科目に乗り換える方が良い場合もあります。
科目によっては少ない労力で高得点が狙えるかも
一方で社会は基本的に1年完結型の科目となっています。
暗記が得意であれば理系科目よりも少ない労力で高得点が取れる場合もありますよ。
そして先ほども挙げましたが、政治経済や倫理などは比較的暗記量も少ないです。
こういった科目が選択できるのであればかなり楽になることでしょう。
数学が得点源になる可能性
もし数学が得意で入試でも数学を選択できる場合、無双できる可能性があります。
理系数学と文系数学は出題範囲も違いますし、難易度もかなり変わるんです。
なのでもともと数学が得意な人は文系数学は余裕で得点できることでしょう。
また個別試験で数学が選択できなくても、共通テストは数学を利用できる可能性が高いです。
受験勉強としては数学に時間を割かなくても、保険として受けておくのも良いですね。
併願がしやすい
理系学部を受験する場合、大学によって指定の科目が異なる場合が多いんですよね。
例えば同じ名前の学部でも私立大学だったら、
- A大学:数学・理科2科目
- B大学:英語・数学・理科1科目
など…
これだと力が分散してしまいますよね…
しかし文系学部の場合、大体は
- 英語・国語・社会または数学
で受験できる場合が多いです。
こんな風に科目が分散しなければ高いパフォーマンスを期待することができます。
新たに勉強するのは社会だけ
もともと理系クラスにいても英語と国語は全員が学校で習っているはずです。
ということは…
結局新しく勉強しないといけないのは社会だけということになります。
もちろん受験勉強として新たに科目を増やさないといけませんが…
知識がゼロではないというのは大きいですよね。
文転するデメリットとは?
続いて文転することによるデメリットです。
必要な科目によっては不利になるかも
これは人によるところが大きいかもしれませんが…
大学から指定された科目によっては不利になってしまう可能性があります。
例えば政治経済や倫理などは暗記量は少ないですが、日本史・世界史はかなり多いです。
また国語についても現代文だけなのか、古文や漢文まで必要なのかによって話は変わってきますね。
英語・国語では点差がつきにくい
ちなみに英語や国語では一般的に得点差はつきにくいとされています。
ということは…本番の1点が運命を大きく変えるということ。
英語や国語で突き抜けようと思ったらかなりの努力が必要です。
歴史をゼロから勉強する負担がかなり大きい
日本史や世界史については1年で習い終わりはするのですが…
一般的には1年で入試レベルで完成させるのはけっこう大変です。
普通は2年生までに日本史・世界史を習い終わり、3年生では演習授業を取ることが多いですからね。
自分で一から勉強しないといけない科目も
高校3年生で文転した場合、学校で習うことができない科目も出てきてしまいます。
例えば日本史など。
文系クラスの人は2年生までに習い終わっているはずなのに、理系クラスにいると履修しませんもんね。
国公立大学を受験する人向けに高3で日本史の授業が開講している場合もありますが、そうではない学校も多いです。
また文転すると決意したのが高3の冬以降だった場合、必要な科目を選択授業で選べない可能性も出てきてしまいます。
文系から理系への変更は不可能と考えよう
ちなみにあまりいないとは思いますが…
一度文転したら理系に戻ることは困難です。
科目数も勉強内容も、理系のほうがややこしいですからね…。
もしそうするなら浪人は必須と考えてください。
文転を成功させるために覚えておいてほしいこと
ここでは現時点で文転するべきか迷っている人に向けて伝えたいことをまとめていきます。
文転するかどうかは早めに決めよう
文転の決断は早ければ早いほど良いです。
決断が遅くなればなるほど新しい科目を勉強する時間も少なくなってしまいます。
それに必要な科目の授業を学校で受けることができなくなるかもしれません。
なので基本的には高校3年生の選択科目を決めるときまでに決定するのが理想ですね。
併願校の受験科目は絶対にチェック!
そしてとても大切なのは受験科目。
科目をチェックせず、文転をすることだけを先に決めてしまうのは絶対にNGですよ。
志望校がある程度絞れているのなら必要な科目を先にリストアップしましょう。
文系クラスに移らなくても理系科目だけで勝負できる可能性もありますからね。
自分が将来やりたいことを考えた上で決定しよう
「入試に有利になりそうだから」
「楽そうだから」
という理由だけで文転するのはちょっと危険です。
学部選びは将来の進路にもかかわりますから、入試の攻略のしやすさだけで決めないようにしてくださいね。
文系科目は完成まで時間がかかる
文系科目の特性として、勉強の成果が得点に表れてくるまでかなり時間がかかるんですよね。
一度伸び始めればぐんぐん伸びていくのですが、それまでは大変な思いをしてしまうかもしれません。
でも途中であきらめたらそれこそもったいないですよ。
成果が見えるまでは歯を食いしばって積み重ねていきましょう。
一度文転を決めたら貫こう
そして一度文転を決意したら貫くようにしましょう。
先ほども述べましたが、文系から理系への転向はかなり難しいです。
「ダメだったらまた理系に戻ればいいや」という考えはとても危険ですよ。
それだけ慎重に、あらゆる方向からその選択が適正かどうかを考えてほしいのです。
まとめ:「逃げ」の文転は危険、戦略的文転はアリ!
- 文転というもの自体は大いにアリ
- しかし文転は戦略を立てて行う必要がある
- 必要になる科目や将来の夢など、いろいろな面から考えていこう
- 文転にはメリットも多いがデメリットもある
- 感覚だけで決めるのではなく、根拠もって決定していこう
今回は文転はアリかナシかということについて解説をしていきました。
根拠を持って戦略的に行うのなら文転も大いにアリです。
ただし…
「どういった戦略で勉強するか?」
「文転することによってどれくらい有利になるのか?」
「理系科目で受験することはできないのか?」
「文転することで将来にどういった影響があるのか?」
など、あらゆる方向から検討してみてくださいね。
もし自分だけでは判断できないのなら、親や塾の先生、学校の先生などに相談しましょう。
いずれにしても志望校についての情報収集をすることは大切です。
第一志望校だけでなく併願校についてもしっかり調べるようにしましょうね。
まだ志望校や併願校が決定していない人は今すぐ情報収集を始めるようにしましょう!
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