浪人するにあたり、予備校に入るかどうかは重要な判断になります。
金銭面での負担はもちろんのこと、「予備校に入ることで学力が効率よく伸びていくのか?」というコスパ面の悩みもあるかと思います。
この記事では予備校なしで浪人を成功させることはできるのか、そして予備校なしで浪人を成功させるためにはどうしたらいいのかについてお話していきます。
予備校なしで浪人を成功させることは可能?
結論から言うと、予備校なしでも浪人を成功させている人はたくさんいます。
ただし割合で考えると、全浪人生の中で予備校に通っていない人はごく少数です。
正確なデータがあるわけではありませんが、長年塾講師や家庭教師をしてきた私の感覚としては、予備校に通ってない浪人生は全体の2割に満たないのではないかと思います。
ただしそのような状況でも、予備校なしで浪人を成功させ、報告に来てくれる元生徒を何人も知っています。
浪人を成功させるために必要なのは予備校の有無ではなく、その1年間の過ごし方であると断言できます。
予備校なしでも浪人成功させられる人の特長
ここでは予備校なしでも浪人に成功させられる人の特徴を簡単に紹介していきます。
「自分は予備校なしで浪人成功できるだろうか?」と考えている人は、自分に当てはまる事柄がどれだけあるか確かめてみてください。
現役時、合格まであと一歩だった
「現役時あと一歩のところで合格を掴みとれなかった」という人は、予備校なしでも浪人を成功させやすいです。
合格のために伸ばさないといけない点数がごく僅かであれば、独学でも比較的簡単に合格を掴み取れることでしょう。
自分に足りない力が明確になっている
自分にとって足りない力が明確になっている人は、迷うことなくその弱点を中心に強化していけるでしょう。
科目ごと・範囲ごとの弱点はもちろん、生活習慣や勉強方法の問題点が分かっている人はかなり有利です。
自分の状態を客観視できていれば、効率よく、正しい方向を向いて勉強をしていけますもんね。
勉強習慣がついている
これが一番大事と言っても過言ではありません。
勉強の習慣自体が出来上がっていれば、予備校に通わなくとも毎日一定量の勉強ができます。
よって少なくとも成績が下降することはありえませんね。
勉強指導やアドバイスがある程度不要な人
また勉強方法や受験戦略のアドバイスが不要な人であれば、予備校の助けがなくても自分で迷うことなく勉強していけるでしょう。
予備校は勉強を教わること以外にも、勉強アドバイスや受験情報を得るために有用です。
(この点においては、予備校よりも塾や家庭教師のほうがアドバイスを得やすいという側面もあります。)
「浪人成功」のハードルが低い人
浪人成功の定義は人により様々です。
例えば「第一志望に受からなればそれは浪人失敗」と考える人もいますし、「どこでもいいから大学に受かればいい」という人もいます。
自分の中で成功の基準をどこに定めるかによって、浪人成功の難易度は当然変わってきますよね。
現在の自分の力と目標としている所との距離が近い人は、予備校なしでも浪人を成功させやすいと言えるでしょう。
予備校なしで浪人に失敗してしまった人の例
では次に、予備校なしで浪人に失敗してしまった人の事例を紹介していきます。
こちらは私が勤めていた塾の生徒や講師、私の知人などの例を交えて紹介していきます。
モチベーションが続かなかった
まず1つ目に「勉強のモチベーションが続かなかった」ということが挙げられます。
予備校なしでの浪人に挑む人には、自分自身をコントロールできる力が必要不可欠です。
いくら自分を強く持っていても、途中でくじけてしまったり、やる気がなくなってしまったり…ということは十分起こり得ます。
しかし軌道修正しきれずに本番を迎えてしまい、残念な結果となってしまった事例も存在します。
そもそもどんな勉強をしたらいいのか分からなかった
また、どのように勉強を進めていいのか分からず、なんとなくの勉強を続けてしまった人もいます。
気軽に相談できる人がいればよかったのですが、誰に頼っていいのか分からないまま受験を迎えてしまったようです。
自己流の勉強方法が点数に結びつきにくかったという、とてももったいない事例です。
基礎学力がなく自分で勉強が進められない
また「基礎学力がないために自分での勉強が進められなかった」という事例もあります。
現役時は学校の先生や塾の先生の授業を聞いて内容を理解できていたとのことですが…
いざ自分で勉強を始めてみたら、何がなんだか分からなくて勉強が進まなかったようです。
実際、基礎学力がない状態での独学は結構大変です。
特に理系科目は、参考書を読み解くことができずなかなか勉強が進まないということが起こります。
基礎学力に自信がない人は、予備校に限らず誰かが手取り足取り解説してくれるようなサービスを利用するべきです。
アルバイトとどっちつかずになってしまった
またアルバイトに精を出し過ぎてしまい、勉強の時間を十分に取れなかった例も存在します。
単にアルバイトと勉強のバランスを間違えた、という場合もありますが…
「シフト増やせない?」といったお願いを断れず、どんどんアルバイトの時間が長くなってしまう場合も多いようです。
浪人生は基本的にアルバイトをするべきではありません。
しかしやむを得ずアルバイトをする場合は、しっかりとルールを設けて周りに流されないようにしましょう。
ここまで予備校なしでの浪人に失敗してしまった人の事例を紹介していきましたが、他にも浪人失敗の要因は多々あります。
よろしければ詳しくまとめた記事もご覧ください
予備校なしで浪人する人が最低でも心がけておくこと
以上のようなリスクを理解した上で、それでも予備校に通わずに浪人をしたいと考える人はどうしたらいいのでしょうか?
心がけるべきことをまとめていきます。
自分をコントロールして勉強最優先の毎日を送る
まずは大前提として、自分をしっかりコントロールしていくことが必須になります。
浪人生が第一にするべきことは勉強です。
途中モチベーションを失ってしまったり、誘惑に負けそうになることもあるでしょう。
人間ですからそうなるのも仕方ありません。
しかし自分の中でしっかりルールを作って、自分自身をコントロールしていかないといけません。
それができないと予備校の有無にかかわらず、浪人を成功させる事は難しいです。
規則正しい生活を送る
予備校に通っていないと時間の感覚が狂いやすいです。
夜型の生活になってしまいやすいので注意しましょう。
受験生は朝型生活が基本です。
勉強の効率を最大にするために、そして入試本番、朝からのテストで実力を出し切れるように、朝型生活を死守しましょう。
模試を定期的に受ける
予備校に通っていない受験生にとって、模試は唯一の力量をはかる機会となります。
必ず模試は定期的に受けていきましょう。
模試については別の記事で詳しくまとめていますので、併せてご覧ください。
過去問管理はしっかり
浪人生ともなれば、第一志望校の過去問は一通り取り組んでいるかと思います。
しかし「一度解たらもう終わり」なんて使い方をしてはもったいないですよ。
過去問の傾向をつかみ、そして自分が得点できない問題を潰していく必要があります。
過去問を1年分解くごとに反省と分析をしっかり行い、今後の勉強計画に反映させていかないといけません。
このことについて詳しくは後述しますね。戦略的に勉強内容を決めよう
以上のように勉強計画を立てる上で、模試や過去問はとても重要です。
ただがむしゃらに長時間勉強すればいいというわけではありません。
自分にとって必要な勉強を見極めて戦略を考える必要があります。
また模試や過去問の結果があれば、誰かに勉強相談する際の資料としてとても役立つでしょう。
模試や過去問のような客観的データがあれば、相談相手もより状況を把握しやすく、正しい方向に導いてもらいやすいです。
必要な時は必ず助けを借りよう
予備校に通っていないからと言って、自分一人だけの力で受験を戦う必要はありません。
必要であればその都度助けを求めてくださいね。
もし勉強の方法が分からないなら、週1回でも家庭教師に来てもらったり、勉強方針を相談できる個別指導塾を利用したりするのも良いでしょう。
もしくは毎月自動的に教材が届く、通信教育を利用するのもいいですね。
今ではスタディサプリのようなチューターつきの格安映像授業のサービスなんかもあります。
それに勉強内容について質問をしたいのであれば、身の周りの大人や突発的な質問に対応してくれるサービスを頼るのが良いでしょう。
壁にぶつかってしまった時に勉強がストップしてしまわないよう、相談先や質問先は事前に考えておきたいですね。
集中できる方法を確立させよう
浪人生は自分を律して、常に勉強に向き合っていかないといけません。
集中できる環境は自分自身で作っていく必要があります。
集中できる時間や場所、そして勉強前のルーティンや適切な休息方法など…
トライ&エラーを繰り返して、自分にとってベストな環境や勉強方法を構築していきましょう。
受験情報を得られる手段を持とう
予備校に通っていないと、受験に関する情報をキャッチしづらいんですよね。
受験を取り巻く環境やルールは日々変化しています。
こういった情報しっかりとキャッチしていくために、受験情報を得られる手段を持っておきたいところです。
例えば志望校のオープンキャンパスや過去問解説会には必ず参加したり、共通テスト関連の情報を取り逃さないよう頻繁に公式サイトやスケジュールをチェックするなど…。
間違っても出願忘れなどないようにしましょう。
予備校なしの浪人生は過去問ベースで勉強計画を立てよう
最後に、予備校に通っていない浪人生はどのようにして勉強計画を立てていけばいいのかを簡単にお話ししていきます。
先ほども書きましたが、勉強の方針を示してくれるのは過去問です。
いくら長時間机に向かっていても、入試本番で出題されないようなことばかり勉強していては意味がありませんよね。
効率よく、そして入試に出ることを優先的に勉強するためには、徹底的に過去問を研究する必要があります。
過去問活用の具体的な流れは以下の通りです。
- 過去問を解く
- 過去問の結果から補強するべき点を洗い出す
- 補強のための勉強計画を立てる
- 実際に勉強に取り組む
- 模試や過去問の結果をもとに計画を更新していく
これを繰り返していきます。
定期的に勉強方法を振り返り、今後の勉強の方向性を確認しながら進めていきましょう。
まとめ:予備校なしでも浪人は可能だけど…自己分析と管理はしっかり!
- 予備校なしでも浪人を成功させることは可能
- しかし実際、成功させられる人はわずかだということを覚えておこう
- 予備校に通うかどうかよりも、浪人中の過ごし方の方が重要
- 勉強の方向性を間違えないように、過去問をしっかり研究しよう
今回は予備校なしで浪人するのはありなのかについてお話をしてきました。
予備校なしでも浪人を成功させることは可能ですし、無事成功できた事例もたくさん知っています。
ただし予備校に通わないということはそれだけでリスクもあることなので、本当に注意深く進めなければいけません。
ただし予備校に通っていたとしても、必ず浪人を成功させられるというわけでもありません。
全ては浪人中の勉強のしかたの問題なのです。
予備校に通っていなくとも日々の努力と工夫で成果を出せる人も大勢います。
ぜひ正しい方法で勉強し、第一志望校に合格できることを祈っています。