世間一般ではどれくらいの人が英検に合格しているのか、そしてどれくらいの実力があればその級に合格できるのか…
こういったことはあまり情報として出回らないので、不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
それに英検は学校のテストとは全く違いますから、どのくらい先取り学習すればいいのか気になっている人もいるかと思います。
この記事では、英検の難易度をいろいろな側面から解説していきます。
ぜひこれから英検を受ける際の参考になさってください。
英検と学校・入試問題との難易度比較
まずは長年講師をしている私の、直感的な英検の難易度をまとめていきます。
ここでは公立の小・中・高の進度を基準に、どの学年であれば無理なく取得できるのかをまとめました。
また共通テストなど、他のテストとの比較も入れておきます。
級 | 学年の 目安 | その他の目安 |
---|---|---|
5級 | 中1 | 学校のテストでしっかり得点できている人であれば合格できるイメージ。 英会話経験のある人はもっと早く取得可能。 ただし文法の学習をしたことがない人は少々厳しいかも。 英検Jr.のゴールドレベルと同等に扱われることが多い。 |
4級 | 中2 | 中学校2年生の定期テストで8割くらい得点できていれば受かる印象。 中2の前半までに取得したいなら「比較」の勉強が必須。 |
3級 | 中3 | 公立高校の入試問題と同程度かやや易しい。 中学校で習う文法を完璧にする必要あり。 またこのあたりから学校の授業だけではカバーしきれなくなる印象。 |
準2級 | 高1 | 公立上位~難関高校の入試と同程度の難易度。 高校で習う文法も入ってくる。 中学生でも英会話や先取り学習をしていれば合格できる。 |
2級 | 高2 ~高3 | このあたりから学校間のレベル差が出てくるため、学校の進度にとらわれず自分で学習を進める必要がある。 英検公式の情報では「高校卒業程度」とされている。 共通テストと同じくらいの問題難易度。 共通テストで6割くらい得点できる人は合格できるイメージ。 |
準1級 | 高2 ~大学生 | MARCH上位以上の大学合格者なら受かる印象。 共通テストで8~9割取れるのなら合格できるイメージ。 |
1級 | 大学生 社会人 | 大学入試終了後も英語力を磨いた人しか合格できない。 仕事で英語を使う人や帰国子女がよく受験をしている。 英会話等でスピーキング力を磨くことが必須。 |
あくまで個人的な印象ではありますが、このようになっています。
英検と定期テスト、共通テストは出題のしかたも大きく変わりますから、一概には比較できないことはご了承ください。
どの級にも共通して言えることなのですが、学校で学習しただけでは合格は難しいです。
学校ではあまり対策をしない長文や英作文の練習も必須ですし、特に単語や熟語などの重要表現は学校で習う分だけでは足りません。
それぞれの級のレベル感を比較したものはこちらの記事にまとめています。
次の項目から、どうしてこのような結論に至ったのかをデータつきで詳しく解説していきます。
合格率から見る英検各級の難易度
まずは英検各級の合格率、と言いたいところなのですが…
実は英検は2016年度以降、合格率を公開していません。
こちらに挙げるのは2015年までのデータとなりますので、参考程度になさってください。
級 | 1級 | 準1級 | 2級 | 準2級 | 3級 | 4級 | 5級 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2015年 | 12.0% | 16.0% | 26.4% | 36.7% | 52.9% | 69.9% | 81.4% |
2014年 | 10.4% | 15.3% | 25.1% | 35.7% | 54.6% | 69.4% | 82.0% |
2013年 | 10.4% | 15.3% | 26.2% | 35.9% | 53.4% | 70.1% | 82.4% |
2012年 | 10.0% | 15.1% | 25.0% | 35.8% | 55.3% | 69.8% | 83.0% |
2011年 | 9.6% | 14.5% | 25.2% | 36.1% | 51.6% | 69.9% | 82.5% |
2010年 | 8.8% | 14.4% | 24.9% | 35.1% | 53.1% | 71.4% | 83.1% |
英検公式サイトにはもう過去データは残っていないため、こちらのサイト様からデータをお借りしました。
3級以上は一次試験と二次試験両方に合格した人の割合となっています。
このように、級が上がるにつれて合格率はどんどん下がっていきます。
そして英検1級の合格率は10%と、とても狭き門であることが分かります。
合格最低点から見る英検各級の難易度
英検は100点満点ではなく「英検CSEスコア」によって点数化されます。
英検CSEスコアについて説明すると長くなってしまうので、イメージをはっきりさせたい人は以下の記事を参照してください。
上記の表を見ると、4級と5級の合格最低点だけガクっと低くなっているように見えますね。
これは4級・5級のスピーキングテストは必須ではないためです。
このことを考慮すると、特定の級から急に難しくなるのではなく、一定量ずつレベルアップしていっているようですね。
ちなみに1次試験の合格ラインは英検CSEスコアで言うと66~79%です。
しかし具体的な配点が発表されていないため、この数値は目安程度に考えておいた方が良いです。
単語レベルから見る英検各級の難易度
英検各級の合格に必要とされている語彙数は以下の通りです。
級 | 語彙数 |
---|---|
5級 | 300~600 |
4級 | 600~1,300 |
3級 | 1,250~2,100 |
準2級 | 2,600~3,600 |
2級 | 3,800~5,100 |
準1級 | 7,500~9,000 |
1級 | 10,000~15,000 |
必要語彙数は級が上がるにつれてどんどん増えていくことが分かりますね。
「以前受けた級は単語が分からなくてギリギリだった…」という人は、次の級を受ける際は単語力をしっかり強化していかないと厳しいです。
ちなみに、高校までに習う単語数の目安は以下の通りです。
累計単語数 | |
---|---|
小学校卒業まで | 600~700語 |
中学校卒業まで | 2200~2500語 |
高校卒業まで | 4000~5000語 |
このように必要語彙数は、英検公式がアナウンスしている各級のレベル目安である、
- 5級…中学初級程度(英語習いたて)
- 3級…中学卒業程度
- 2級…高校卒業程度
という目安にも対応しているように思いますね。
しかし英検の各級で出てくる単語数には目安があるとはいえ、どの単語がどの級で出題されるかという明確な線引きはありません。
学校で習う順番は考慮されませんし、熟語や連語などのカタマリ表現も多く問われます。
学校で習わない単語も多く出てきますから、自分でしっかり準備したいところです。
文法の出題範囲から見る英検各級の難易度
また文法の出題範囲は以下の通り。
級 | 必要文法 |
---|---|
5級 | 現在形・現在進行形・命令形 |
4級 | 過去形・過去進行形・比較・不定詞・動名詞 |
3級 | 受動態・現在完了形・関係代名詞・分詞 |
準2級 | 仮定法・分詞構文・過去完了形・完了進行形 |
こちらは文法事項が初めて出現する級を指しています。
例えば3級試験の場合、4級・5級で問われる文法事項に3級の受動態・現在完了形・関係代名詞・分詞が加わるイメージです。
そして1級・準1級では、これまで出てきた文法をさらに掘り下げていきます。
これを見ると、級が上がるにつれて問われる文法事項が多くなることが分かりますね。
学校では習う学年が決まっているため、相当学年よりも早く英検を取っていきたい人は文法対策を念入りに行う必要があります。
まとめ:英検の難易度と正しい勉強方法を理解して対策しよう!
- 英検の難易度をはかる上で比較するべきデータは多岐にわたる
- 学生は自分の学年と級・勉強時間の目安を理解しておこう
- 自分の実力で合格できるか知りたい人は、過去問や予想問題にチャレンジしよう
本日は英検各級の難易度について解説をしていきました。
単語数や合格最低点などのデータは英検公式で告知されていますので、参考にしやすいかと思います。
ただし、学校で習う順番と完全にリンクしているわけではないので、まったく対策なしで本番に挑むのは避けたほうが良いでしょう。
特に単語や熟語は習っていないものが多く出題されますし、長文読解や英作文なんかは学校ではほとんど練習しませんからね。
英検合格を目指す方は、ぜひしっかり対策をして臨んでくださいね。
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